起業コンセプトと新たな方向性

心音の強み

・大切なお仕事の依頼にも関わらず、どんな納棺師が現場に来るのだろう?といった不安がない。

 

・時間に余裕を持ってお仕事をお受けしますので、処置化粧だけでもじっくりお話を伺いながら進めることができます。

 

・着替えや古式湯灌のご希望があれば、お家の方にお手伝いいただきながら本来あるべき家族だけの時間を過ごしていただけます。(美しさを見せつける儀式や演出は不要だと考えます)

 

 

心音の弱み

・こころねは、通常2人1組で伺う湯灌や納棺業者と違い、1人でお仕事をさせていただきます。そのため、ご遺体のご移動といった力仕事はお受け出来かねます。もちろんお手伝いの範囲でお手添えをさせていただくことは可能ですが、前提として、一般的に納棺業者へご依頼される際の感覚とは異なるものとお考ください。

 

・また、こころねは一人のプロフェッショナルとしてお仕事をさせていただいております。そのため、残念ながら時間の融通が利かない場合もございます。(その代わり、早朝や夜間のご依頼は出来るだけ対応させていただきます)

 

 

起業の狙い

 さて、まずは大切な強みと弱みを簡単に述べさせていただきましたが、サービスを説明するよりも、この、極めて独立する人間が少ない納棺業界において、今なぜ私が会社に所属するのをやめ、起業の道を選ぶに至ったかを、まずはお話しさせていただこうと思います。

 

 今後、日本には多死化社会がやってまいります。これは避けられぬ事実であり、その時に向け、今この業界にいる誰しもが試行錯誤し、生き残る術を考えていると思います。

 

 そして、時代にはさらなるもう一つの変化が起きようとしてます。これからは全てが二極化されていく時代を迎えるのです。それも急ピッチで進んでおり、止めることはすでに不可能であり、我々は望まずとも新しい時代に対応していかなければなりません。
 これは世界全体の社会的な変化です。葬儀業界でいうならば、 完全マニュアル化され統一された美を武器とするセレモニーと、 アナロギーだがイレギュラーに強い、心のこもったセレモニーの2パターンでしょう。

 

 逆にいうと、これらのどちらにも属さない葬儀社は存続の危機を迎える可能性が高くなるということなのです。おそらく、これはどの業種にも当てはまることでしょう。

 

 この納棺業界も、社会的人材不足の影響は少なからず大きな打撃を受けています。業界は今、人手不足を受け、 さらに仕事の質は低迷化の一途を辿っている。

 

 私は独自に、自らの目で見てきた葬送現場での情報と、社会とを照らし合わせ、「マニュアル化」していく様を目の当たりにし、そしてとうとう業界の危機を感じたのです。

 

 そんな危機を感じていた矢先、私はグリーフケアに出会いました。それは、私の中のもやもやしていた霧が晴れるような出会いでした。

 

 京都グリーフケア協会で、様々な講師の方と意見を交換し、同業種の方の苦悩を聞き、葬儀の別のパートを担っている方々とのやり取りの中で、「今私がやるべきこと」がくっきりと見えはじめたのです。

 

 古来日本の葬儀に携わる者は、位が低い人間の担う仕事であり、残念ながら決してイメージの良いものではありませんでした。

 

 近年になり、日本でもようやく見直され始めましたが、海外では昔から葬送の仕事は、人の「死」といったデリケートな事柄を扱う「敷居の高い仕事」でした。

 

 なぜなら、グリーフ(悲嘆)に関する研究は扱う内容が、社会学、心理学、哲学のみならず宗教学、生理学、免疫学、など多岐にわたり、本来非常に学際的な研究を要求するものだったからです。

 

 一歩間違えれば、「悲しみにつけ込まれた」と言われても仕方のない業界だからこそ、精神性の高い学びや、意識の改革が必要なのです。

 

 いよいよ、業界のイメージ転換の時代がやってきました。口コミなどネットで情報が拾えるこの時代です。金儲けに走ってしまうものならば、簡単にバレてしまう。そんな時代が来ているのではないでしょうか。

 

これからの理想の仕事……

 

→喜び=本物の価値
→感謝=相当のお金

 

 これまでは綺麗事をしていてはお金は生めなかったかもしれません。しかしこれからは綺麗事、いや、綺麗な事をすることでお金を生めるのです。しかし、お金を生むためには本物の「心」あるお仕事をするしかありません。それでなければ統一された、完璧で細分化されたマニュアルを作るしかないでしょう。また、人間も二極化しているので、どちらかに当てはまるでしょう。

 

 

新たなフィールド

 私たち日本の多くの死化粧師は、今現在においてその技術で戦えるフィールドがありません。逆にいうと技術がなくとも同じフィールドだということです。
しかし、人間というものは甘い生き物なので、ぬるいフィールドでとりあえず生きていければ満足しますので、自ずと質は上がりません。にも関わらず教育は後回しになり量産主義になってしまう。

 

 このように、気がつくと求められるニーズからどんどんと遠のいてしまうのです。

 

 私は自分の仕事に責任を持って携わりたいと思っています。その想いから勇気を持って今回の企業により業界、社会に対し手を挙げた次第です。

 

 納棺師、死化粧師もこれからは能力を問われ志の高い者がよい仕事をし、傷付いた遺族に質の高いケアを提供し、一人でも多く救われる。そんな時代が来てほしいと心から願っています。

 

 そして何より、志を持ち経験や知識のある死化粧師たちが、身体を壊し志半ばで現場を退いてしまったり、ある年齢を過ぎ会社で必要とされなくなっても大好きなこの仕事でずっと働ける環境があるべきだと心音は考えます。

 

 長くなってしまいましたが……まずは、悲嘆が深く、心のケアが必要だと感じる難しい状況の案件ほど、こころねにお任せください。たったひとりのプロフェッショナルだからこそ実現可能なサービスがあります。

 

 葬儀に携わるパートの1ピースとして、自信を持って、御社のお葬式がより良いセレモニーになるよう全力でサポートさせていただきます。

 

 このような私のコンセプトにご賛同いただける方がおられましたら、ぜひ葬送のリレーをこころねと共に。

 

平岡 佳江
私は、これまで自分自身や、たくさんの方々の悲嘆、悲しみと遭遇し向き合ってきました。これからは一歩ずつ、ゆっくりと歩を進める人生のなかで、死化粧師としてできることを探求し続け、こころねとご縁ある方々のグリーフを大切にケアしてゆけるよう精進して参ります。